第29回日本総合病院精神医学会学術総会

会長挨拶

第29回日本総合病院精神医学会総会 会長
慶應義塾大学医学部精神神経科学教室 三村 將

 このたび2016年11月25日(金曜日)~26日(土曜日)に東京都千代田区の日本教育会館で第29回日本総合病院精神医学会学術総会を担当させていただくこととなりました。私にとって、大学を卒業してすぐの1年間は慶應大学病院勤務、続く2年間は横浜市立市民病院に勤務していました。この間に経験したさまざまな出来事や、多くの人々との出会いは、私のその後の医師としての、あるいは人としての考え方の礎となり、方向性を決定づけるかけがえのないものです。特に、横浜市立市民病院神経科時代の恩師の思い出は“認知症の「みかた」”(医学書院, 2009)で触れたことがあります。今回、このような形で本学会の学術総会を開催させていただくことは、当時の恩師へのささやかな恩返しにもなるのではないかと考え、大変うれしく思っております。
 総会の基本テーマはちょっと欲張って「総合病院精神医学の未来-脳・こころと身体のクロストーク」としました。今日、総合病院精神医学はいわば岐路に立たされています。総合病院の精神科が採算ベースで苦境に立たされ、病棟閉鎖や病床削減など、縮小を余儀なくされています。サポートのないまま、多忙を極める日常臨床や業務に追われ、疲弊している一人医長も少なくありません。その一方で、緩和ケアやリエゾン精神医学、あるいは救急受診した自殺企図患者への対応などに端的に示されるごとく、総合病院における精神科の重要性はさらに高まってきているとも言えます。特に、日本専門医機構の新たな枠組みの下で、総合病院精神科はさらなるプレゼンスを示していかなければなりません。この点については、2013年に本学会の学術総会を開催された村井俊哉先生が、雑誌「臨床精神医学」の特集「総合病院精神医学の新しい展開」(2014年6月号)を組まれるのにあたって、「総合病院精神医学は一般精神医学の中の重要なサブ・スペシャリティである」と述べられています。まさに、そのような方向性で総合病院精神医学の未来を模索していきたいと思います。
 「こころと身体」という命題は、総合病院精神医学にとって真新しいものではありません。私自身も雑誌「臨床精神医学」で「精神科臨床における身体疾患への対応」(2014年3月号)という特集を組んだことがあります。ここには身体疾患を持つ患者のこころの不調への対応と、精神疾患を持つ患者の身体合併症への対応という対極的かつ相補的な双方向性の問題意識があります。また、「脳とこころ」という命題も第27回学術総会で朝田先生がすでに提案されています。ここではあえて「脳・こころと身体」という三位一体の表現にしてみました。たとえば「身体感情」「自律神経反応」「腸-脳連関」といったキーワードをよすがとして、こころと身体の相互関係、さらにその背景にある脳基盤に関するクロストークを楽しみたいと思います。
 本学術総会の頃は、樹々の色づきもさらに深まり、東京がひときわ輝きを増す季節です。合間のひと時、お堀のまわりを散策したり、美術館や古書店街を訪ねてみたりするのも一興かと思います。多くの方に学術総会を楽しんでいただけるよう、現在、鋭意プログラムを練っているところです。ぜひお誘いあわせの上、足をお運びいただけますよう、お願い申し上げます。

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